豊田耕兒先生のこと

世界最高峰のヴァイオリン奏者

ドイツのベルリン放送交響楽団のコンサートマスターを17年、ベルリン芸術大学ヴァイオリン科の教授を21年務められた豊田耕兒先生。どうしても豊田先生にご指導をいただきたくて、松本に戻っていらして音楽院の校長になられた先生の元で6年間(うち1年は豊田先生のご推薦によりパリ留学させていただきました)、音楽の技術、精神、人生において生涯の指針となるかけがえのないものを学ばせていただきました。


巨匠ジョルジュ・エネスコや、アルテュール・グリュミオーの奏法、精神を通じて

レッスンでも豊田先生がパリで巨匠ジョルジュ・エネスコやベルギーのアルテュール・グリュミオーに師事され学ばれた奏法や音色、指使い、思想、人となりなど多くの貴重なことを教えてくださりました。同時に豊田先生ご自身の中に姿なく高貴な人間像は生きておられ..

それは出会われた素晴らしいすべての方々と思いますが、いつもお姿から感じる印象といえば「光」そのものでした。人生で「出会って生き方が変わった」という出会いをいただけることこそ、最も幸せなことであると自らの体験を通じて深く感じています。先生が「すべてに全身全霊で」とおっしゃったこと、そしてそれをご自身が後ろ姿で示してくださること...音楽は神さまに向きあうことと先生のすべてから教えていただきました。


「さまざまな芸術を観ていらっしゃい。やがてあなたの血となり肉となるから」

パリに行かせていただく際に、「音楽だけでなく、さまざまな芸術を観ていらっしゃい。それがやがてあなたの血となり肉となるから」とおっしゃっていただいたこと、本当に大切な言葉をお贈りいただいたと感じています。

何という豊かな時を過ごさせていただいたことでしょうか。先生が歩まれた道を私に見せてくださるお気持ちが、ただただありがたく、心から幸せな人間だと思います。言葉では言い尽くすことなどとても出来ない豊田先生への感謝の思い、いただいた深い愛情、芸術の光、正しい道を歩まれるそのお姿...少しでも私に出来ることがあるとするならば、いただいた崇高な世界を次世代にただお伝えしていくのみです。


一度ではとても書くことはできませんので、また続いていくことと思います。




Yasuko Shirasaki

ヴァイオリニスト白﨑靖子。名古屋「覚王山」で子供と大人のためのヴァイオリン教室も主宰しています。

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